인민무력부
◆人民武力部長金鎰喆次帥
◆人民武力部副部長鄭昌烈大将（98年12月～）/副部長金正覚上将（？～）/副部長呂春錫上将（99年9月～）/副部長？/対外事業局長李相禹少将（96年3月～）
◆民族保衛省（1948年9月）→人民武力部（1972年12月）→人民武力省（1998年9月）→人民武力部（2000年9月9日）
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1代民族保衛相崔庸健（48年9月～57年9月） |
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2代民族保衛相金グァンヒョプ（57年9月～62年10月） |
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3代民族保衛相金昌鳳（62年10月～68年12月） |
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4代民族保衛相崔賢（68年12～76年5月）＊72年12月以降人民武力部長 |
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5代人民武力部長呉振宇（76年5月～95年2月）＊87年に総参謀長呉克烈が武力部長代行 |
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6代人民武力部長崔光（95年10月～97年2月） |
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7代人民武力部長金鎰喆（現）＊1998～2000年の間には人民武力相 |
北朝鮮において最初に国防部の役割を行った機関は、民族保衛省（別名民保省）である。1972年の憲法改正を通して省を部に改称し、人民武力部に名称が変更された。1998年9月には、最高司令官命令及び憲法改正を通して人民武力部から人民武力省に名称が改定された。この時期の人民武力省の長は、人民武力相
であり、次官は人民武力省副相だった。ところが、2000年9月、ソウルで開かれた南北国防長官会談に参席した金鎰喆は、人民武力相ではなく、人民武力部長という肩書きを持っていた。2000年9月9日、人民武力省から人民武力部に名称を再び変更したのだろう。
筆者は、人民武力部から人民武力省に名称が改定されたのは、人民武力省の位相低下を意味すると解釈したことがある（参照：人民武力省改編の意味）。最近、北朝鮮が人民武力省から人民武力部に再び名称を変更した理由は何なのか？実質的
な理由がない単純な名称変更ということもあるが、筆者が考えるには、人民武力部が内閣ではなく、国防委員会所属機関であることを明らかに表示しようとする意図
と推測される。
元来、人民武力部は、政務院の行政部署の1つだったが、1982年4月、国家保衛部（情報機関）、社会安全部（警察）と共に、中央人民委員会所属となった。1990年5月から再び国防委員会所属に変更された。
過去の人民武力部時代、人民武力部には、総政治局、総参謀部、後方総局、保衛司令部等、4大機関と対外事業局、警務局（憲兵担当）、軍事裁判局、軍事検察局等、概ね4～5個直属局があった。韓国側公開資料では、人民武力部直属局と総参謀部隷下の局を区別しておらず、無差別に
羅列する場合が多く、人民武力部直属局を正確に区別するのが難しい。最新版国防白書には、人民武力部直属局として、幹部局、軍事裁判局（軍事裁判部？）、軍事検察局だけ表示している。幹部局は、軍官（将校）に対する人事を担当している部署だが、過去には、総参謀部隷下局として知られていた部署である。国防白書が数年間継続して幹部局を人民武力部直属局として表示するのを見れば、幹部局は、総参謀部直属から人民武力部直属に所属が変更されたようである。対外事業局の場合、最近数年間の国防白書では確認されていないが、人民武力部直属局として依然存在していることが確実である。人民武力部の実質的な業務中の1つが軍事外交
なのだが、その軍事外交を実務次元において裏付ける部署が存在するのは当然である。脱北者崔チュファル氏も、人民武力部対外事業局所属だったが、日本のある公開資料『金正日大図鑑』（恵谷治
、日本小学館、2000）p143でも、人民武力部所属として「対外事業局」が登場している。
呉振宇在任時代、人民武力部長は、儀典、外交、軍需業務を主に管掌し、軍事作戦に対する影響力は、考えられたほど大きくはなかったという。呉振宇に比べ、重量感が劣る金鎰喆の場合は、
言うまでもないことである。
（写真左から金鎰喆、鄭昌烈）
人民武力部長金鎰喆は、海軍司令官出身で、過去米国の情報収集船プエブロ号拿捕事件に関連した（当時、東海艦隊参謀長）人物である。海軍出身である金鎰喆を人民武力部長に任命したのは、有事の際、潜在的権力候補である人民武力部長の位相を弱化させようとする意図と考えられる。2000年9月、金鎰喆は、南北国防長官会談後、ソウルと済州島を訪問したことがあり、9月26日には、青瓦台を訪問、金大中大統領を礼訪したことがある。2000年9月の南北国防会談の北朝鮮側代表団は、5名で、金鎰喆と副総参謀長朴勝元、人民武力部補佐官金
ヒョンジュン、人民武力部副局長ノ・スンイル、板門店代表部部長ユ・ヨンチョルだった。人民武力部補佐官として知られる金ヒョンジュンの階級は少将で、朴在京のソウル訪問時にも随行したことがあるが、情報－保衛機関関連人物である可能性があるようである。
2000年5月、筆者が最初にこの資料を公開した当時の人民武力省副相としては、李炳煜、鄭昌烈2名の名簿を確認することができた。それ以後、呉龍訪、金正覚、呂春錫等の名前を追加で確認した。ところが、2000年9月6日、平壌放送が人民武力省副相呉
龍訪が死亡したと報道し、李炳煜も最近名簿に現れないのを見れば、退任乃至死亡したようである。従って、2001年1月現在、人民武力部副部長は、鄭昌烈大将、金正覚上将、
呂春錫上将と推定される。副部長金正覚上将の場合、日本資料『金正日大図鑑』において、99年1月、人民武力省副相に任命されたと出ていた。しかし、国内マスコミでは、既に98年下半期に彼が人民武力省副相に任命されたと報道したことがあることから、99年1月任命説は、誤りと考えられる。
他の共産圏国家の慣例を見ると、総政治局長と総参謀長、後方総局長も人民武力部副部長を兼職しているものと推定される。
最終更新日：2003/06/28